基礎知識|コンクリート壁の透過損失について

コンクリート壁の透過損失について

コンクリートは、ビル建築の主要な構造部材であるとともに遮音を考える上でも重要な遮音材料であると言えます。
普通コンクリートは骨材や内部に配筋される鉄筋を含めると比重2.4程度と質量が大きく、また型枠で必要な厚さや形が作れ、隙間なく壁や床を構造出来る便利で有効な遮音材料と考えられております。かつて集合住宅の壁、床の厚さは構造上必要な寸法で決まっていましたが、近年では遮音性能の要求から厚さが決められるケースが多くなっております。

1.質量則とは

  • 質量則とは、「緻密で均一な材料からできている壁体の透過損失は、その壁体の単位面積当りの質量(M)と、音の周波数(f)の積の対数値との間の直線関係がある。」この関係を質量則と言います。単位面積当りの質量が大きいほど、あるいは周波数の高い音ほど、透過損失が大きく、遮音効果が得られることから遮音性が向上すると言えます。一般的には、重くて柔らかい物ほど音波によって揺れにくいため、遮音性に優れており、代表的な材料としては鉛などがあげられます。
  • コンクリートなどの一重壁(単体壁)の場合、重量(質量)が大きいほど遮音性が高くなることから、壁の厚さが厚ければ厚いほど遮音性が良好となります。
  • ※コンクリート、軽量気泡コンクリート板などによる一重壁構造は、内部の配筋等があり厳密な意味では均等ではないが、実用的には質量則を適用して音響透過損失を求めても良いとされております。

これを「質量則」と言われる次の近似値で表すことが出来ます。

TLo = 20 log ( f × M ) -42.5 (dB)

TLo: 透過損失(dB)
f : 周波数(Hz)
M : 構造体の密度(㎏/㎡)

TL = TLo - 10 log10 ( 0.23 × TLo )  (dB)

TL : ランダム入射透過損失(dB)


例 )普通コンクリート壁の透過損失計算

周波数 250Hz ・ 500Hz ・ 2000Hz の 3ポイントにおける
比重 2.4 壁厚 50mm ・ 100mm ・ 200mm ・ 300mm の透過損失計算

材料:普通コンクリート 厚み:200mm 比重:2,400kg/㎥ 周波数:500Hz の場合

TLo = 20 log ( f × M ) -42.5 (dB)
   = 20 log ( 500 × 480 ) -42.5
   = 20 ( 5.38 ) -42.5 (dB)
   = 65.1 (dB)

TL = TLo - 10 log10 ( 0.23 × TLo )  (dB)
   = 65 - 10 log10 ( 0.23 × 65.1 )
   = 65 - 10 log10 ( 14.973 )
   = 65 - 10 ( 1.175 )
   = 53.4 (dB)

コンクリート壁の透過損失について 図1.bmp

一重壁の場合、質量が倍になるとおよそ 5dB 遮音性能が向上する結果となります。


コンクリート壁厚さに対する遮音性能

マンション等に採用されるコンクリート壁厚200mmだと、上記グラフによりTLD-53程度となります。コンクリート壁にて乾式二重壁のTLD-60相当を想定する場合、コンクリート壁厚500mm程度が必要となり非現実的な厚みとなることが判ります。

コンクリート壁の透過損失について2.bmp


二重壁の効果(同じ面密度ならば中空のある方が性能が良い)

コンクリート壁の透過損失について3.bmp

上記図は、コンクリート壁における独立した単体壁と壁厚さを半分にし、二重壁構造にした場合の遮音効果の想定をおこなった場合、左図のコンクリート壁100mmの単体構造だと 73dB音が通過するものに対して右図のコンクリート壁50mmを二重壁構造にした場合、36dBの音の通過に減少され、84dBの透過損失が実現された事となります。
その理論から半厚の壁を二重にすることで壁体重量をそのままにしても、遮音性能能力を倍得ることが出来ることになるのが、二重壁の効果となります。